小さなトトとシャボン玉

 

トトは今、お留守番をしています。猫のミーヤと二人だけでお留守番。
ママがちょっとそこまでお買物に行っているほんの少しの間だけのお留守番です。
だけどトトには初めてのおるすばん。
ママは「すぐ帰ってきますからね。
知らない人が来たらドアを開けちゃいけませんよ。」
といってお買物かごを片手に行ってしまいました。トトはちょっとウキウキ。
だって初めてのお留守番です。

トトは思いました。『シャボン玉を作ろう!』

いつもはママと一緒でなければできないシャボン玉遊びですから、
トトは嬉しくってたまりません。
さて、シャボン玉をつくるには、まず洗剤が必要。そして、ストロー。
トトは、キッチンへ向かいました。でも、洗剤に手が届きません。
猫のミーヤは、トトの様子を伺いながら、
床の上からいすをつたって洗剤が置いてある棚の上へ。

「ミーヤ、お願い。それをけとばして!」

トトがそう言うと、ミーヤは、まるでトトの言葉を理解したみたいに、
洗剤の側に近寄ってじゃれるように前足で洗剤をパンチ!!!
ゴロゴロゴロンと、洗剤が、トトの手が届くところまで落ちてきました。

「ありがとう、ミーヤ」

ミーヤは、またまたトトの言った言葉が分かったように「にゃあ」といって、
自分がいつもすわっているソファーの上にもどっていきました。
さぁ、水と洗剤の量を加減して、シャボン玉水を作ります。
ママはいつもほんのひと雫の洗剤に
たっぷりの水を混ぜ合わせてシャボン玉水を作ってくれます。
そしてシャボン玉を作るためのストローも手作りです。
白くて細いストローを棚から取り出し、
先っぽの方にハサミで切り込みを入れて広げれば完成です。

「ミーヤ、さあ遊ぼう!」

でも、ミーヤは眠そうに、ソファーの上で丸まったまま。
トトは、一人で庭に出てシャボン玉遊びを始めました。
ふぅーふわふわ。太陽の光に反射して虹色に光ります。
ふわふわ、ぱちん!
出来上がったシャボン玉をつっついてわざとわってみたり・・・。
もっともっと高くあがれってフーフー息を吹きかけてみたり。
トトは楽しくて仕方ありません。

夢中になったトトは、いっぺんにたくさんのシャボン玉を作ろうとして、
ストローをほんの少しだけ吸ってみました。
たくさんシャボン玉水をストローに入れておけば、
一度にいくつものキレイなシャボン玉ができると思ったのです。
そして次の瞬間、トトに大変なことが起こったのです。
スルスルごくん。大変、シャボン玉水を飲んでしまいました。
そして、いつもママから言われていることを思い出したのです。

「トト、シャボン玉水は飲んではダメよ。」

トトは、どうしていいか分からなくなりました。
ママに内緒のシャボン玉遊びですから、
もし、シャボン玉水を飲んでしまったことをママにいったら、
きっと、怒られてしまいます。
トトは、パニックになりながらも、あせって後片付けをはじめました。
ちょうど後片付けが終わった頃、ママがお買物から帰ってきました。

「ただいま、トト。お留守番ありがとう。プリン買ってきたわよ」

トトは「食べたくないの」とひとこと言って、
お昼寝用のおふとんの中にもぐってしまいました。
ママは何かあったのか心配になって、トトの顔をのぞき込みます。

「あら、顔色が少し悪いわねトト。お熱でもあるのかしら」

トトは思いました。
『やっぱりだ。きっとシャボン玉水を飲んじゃったから顔色が悪いんだ』
トトは自分が病気にかかっているんだと、そんな風に思いました。
そしてトトは、思い余ったように急に話し始めました。

「ママ、ママ。あのね。きのうお庭の花壇の花を折っちゃったのは、
本当はトトなの。ミーヤのせいにしちゃったの。
それからね、ずっと前テーブルの上においてあったお客さん用の
お菓子を食べちゃったのもトトなの。それから、それから、」

トトは今まで秘密にしていたいたずらや失敗のことを次々にあやまりはじめました。

ママは「まぁ、そうだったの。正直さんね。これからは気をつけるのよ」
と優しく許してくれます。

トトは、優しく許してもらえればもらえるほど、もっと切なくなってきました。
このまま、病気がひどくなって、ママに二度と逢えなくなると思うと・・・。
でもなぜか、シャボン玉のことは言えません。

でもママは、「秘密にしてたことはそれだけ?」と意味ありげにトトに聞きます。

「お留守番の間、何をして遊んでいたの?シャボン玉?」

トトは驚きました。「どうして、どうして、どうしてわかったの?」

「ママはね、トトのことはみんなわかっちゃうのよ」

そうですママはちゃんと知っているのです。
ゴミ箱に捨ててあったストローのことや、
いつもと違う場所に置いてあった洗剤のこと。
トトは真剣な顔になっていいました。

「それじゃぁ、シャボン玉水を飲んじゃったことも?」

さすがのママもこれにはびっくり。

「まぁ、大変トト、どのくらい飲んでしまったの?ゴクゴクゴクって?」

「ちがうよ、ちがうよ、ストローを吸ったら、
ちょっとだけお口に入ってしまったの。でも、すぐブクブクしたよ」

「そのくらいなら、きっと大丈夫。
一応おなかのおくすり飲んでおこうね、トト。これからは気をつけるのよ」

トトは、何だか急に安心して言いました。

「うん。お薬のんだらプリンを一緒に食べようね、ママ」

おしまい

 

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