1.エドワードがやって来た。

 

ついに子犬がやってきた!名前は「エドワード」。
なんと高貴な名前なんでしょ!!!
ラブラドールとゴールデンをかけ合わせたミックスで、めっちゃくちゃかわいい!
体重は、結構デカくて6.8kgkの男の子。
これから約1年、「エドワード」が立派な盲導犬になるために
家族総出で頑張って育ててゆくのです。

8月のはじめに、盲導犬協会へ行ってエドワード(通称エド)を受け取った。
受け取るまでオスかメスか、どんな気性の犬なのかまったく分からない!
私たち家族のほかに5家族が集まった。約1時間半の講習を受ける。
後からご対面する子犬たちが気になってみんなちょっと上の空・・・。
とうとう、子犬たちが講習室へ入ってきた。
タラリンとした耳、つぶらな瞳。もうたまんなくらいかわいい!!
どちらかというと猫派の私だけど、さすがに首ったけ。

とにかくかわいい!
でも、1年後にはお別れしなくちゃいけないのも事実。
自分の家の犬だけど、自分たちの犬じゃない。
あっさり言ってしまえば、「預かりもの・・・。」
そのことをつくづく感じたのは、「規約」の項目で、
■パピーウォーカー(私たちのこと)の過失により犬が死亡した場合は、
その犬の代金を支払うこと。みたいなことが書いてあって、
ちょっぴり悲しい感じがするのも事実だけど、
でも、やっぱりかわいいものはかわいいよ!!
さぁ、これからどんな一年になるんだろう・・・・・?

ちなみに、赤ちゃんの時のエドは、こんな感じだったの!

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2.家族みんなで『水前寺清子』!?

エドが家に来て2日目になる。
朝昼晩、私たち家族は『水前寺清子』に変身する。
なぜかと言うと・・・。

盲導犬を育成しているわけなので、ウンチ君やオシッコ君は外でさせない。
すべて家の中で済ませなければならない。
ウンチ君、オシッコ君をするための場所をちゃんと決め、そこを柵で囲む。
それを、なぜだか『ワンツーサークル』という。
さらに、犬に「さぁ、ウンチ君とオシッコ君の時間だよー。ここでするんだよー」
と教えるための『かけ声』がある。
盲導犬協会の人が言うには、「ワンがオシッコでツーがウンチ」だそうだ。

「ワンツー、ワンツー、ワンツー、ワンツー、ワンツー、ワンツー、ワンツー、
ワンツー、ワンツー、ワンツー、ワンツー、ワンツー、ワンツー、ワンツー、
ワンツー、ワンツー・・・・・・・・・・。」

ひたすら用が済むまで続けられるかけ声。
まるで家族全員が『水前寺清子』になった気分だ。
(しかし足踏みをしてはいけない。犬が遊んでくれると思ってしまうから。)
もしかすると、「あそこの家、何だか変な宗教にでも入ったのかしら?」
とご近所さんに思われているかもしれない・・・。(笑)
かけ声通りに用を済ませると、「GOOD!!」といってほめてあげる。
何だかこれも、こっぱずかしい気もする。

用を足したエドは、何もなかったかのようにゴロンと横になり、
「今日は誰が遊んでくれんのかなぁー」のような上目使いで私たちを見る。

そんなエドワードを、「何奴????」と不審な目で見る
2匹の猫が家にはいる。まだエドに慣れていない。
このお話は、また別の機会に・・・。

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3.今日は家庭訪問。

家庭訪問なんて言葉何年ぶりだろう。
今日は、日本盲導犬協会の人たちが家に来た。いわゆる家庭訪問である。
預けた犬がどんな環境で育てられているかを偵察に来るというわけだ・・・。

今日までのエドは、なかなかおりこうさん。
ウンチ君やオシッコ君は、ほぼ98%、ちゃんと決められた場所でしている。
ただ、ちょっと噛みぐせが激しい。(この頃は、何でも噛むことが仕事のようだ)
ソファーに座っていれば足をパクッ!なでようとすれば手をパクッ!
もちろんジャレる程度で噛み付くので、そんなに痛いというわけではないが、
ダンダン興奮していくと、痛くもなってくる。

しつけの先生に聞くと、無視するのが一番いいらしい。
ジャレようとして寄って来てもすぐ手をさしのべるのではなく、
しばらくして犬が落ち着くまで無視するというわけだ。
そうすると、犬は、「?????」となって、人間のでかたを待つ。
大人しくなったところで、初めて声をかけてあげると、
「そっか、おとなしくしてれば、僕と遊んでくれるんだ!」と覚える。

そんな風に、日本盲導犬協会の先生と、約3時間ぐらいの話合いをもった。
その間先生は、ワンツーサークル(犬のトイレの場所)や、
ケージ(犬の小屋)の写真をとり、
どんな場所に置かれているのかなどのチェックを入れる。
和やかな話の中にも、様々なチェック項目があるようで、
先生はしきりにメモを取っている。ちょっと緊張する瞬間。
でも、イロイロ話しているうちに、うちのエドは結構優秀らしいことを知る。
あっ、うちの・・・なんて。もうすでに親バカ状態である。

約1年、こんな親バカ状態が続くのだろうなぁ・・・。

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4.サク・サク・サクの家の中

 

家には猫が2匹いる。「2匹」というより「二人」という感じ。
二人のうち、体型的にも年齢的にも大きなほうが、
私の可愛がっている
「maomao」という猫だ。
もう一匹は
「ちゃちゃまる」この子は捨て猫だった。
「maomao」と「ちゃちゃまる」は」ハウス猫で、
いわゆる表には出さない箱入り猫たち。
人見知りはするし、もちろん犬見知りだってする。
だから、エドが家に来た日は、一日中押し入れの中に隠れて、
一歩も外に出ようとしなかった。餌やおトイレは、人が押し入れから
引っ張り出してそこまで連れて行ってあげるという始末。

今ではエドが、ケージ(小屋)の外に出てリビングで遊ばせている間は、
キッチンなど、飲み込んだら危ないコマゴマしたものがあったりする部屋、
畳の部屋や猫が寛ぐため部屋、落っこちたら大変な階段の入口、
などなど至る所に柵を張り巡らせている。
これは、猫たちのためでもあり、エドのためでもある。

しかし、ココもココもと数を増やすうち、まるで人間様のほうが
小屋の中にいるみたいになってしまった!
部屋を移動するときは、
約50cmくらいの高さの柵をイチイチ
またいで行かねばならないのもシンドイ。
ハードルの選手にでもなったような気分だ。
猫たちは、飛び越えることが出来ないので、猫が今どの部屋に行きたいと
思っているのかも見てあげなければならない。
こんな、不思議な苦労を他のパヒーウォーカーたちもしているのだろうか???

そんな人間の気持ちをよそにエドワードは、
自分以外が全員キッチンなどに集まっている時は決まって、
「おいらも仲間に入れてくれよう」
といった顔をしながら、柵にペッタリ体をくっつけてこちらを見ている。

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5.9:30だよ、親バカ全員集合!!

この間の日曜日、盲導犬協会でパピーパーティー(訓練パーティー)が行われた。
集合は9時半、エドの兄弟姉妹が、それぞれ預けられたパピーウォーカーとともに
全員集合する。なかには、集合時間に遅れてしまった家族もいたりしたが、
訓練士の先生に「ちゃんと、時間どおりに来た方には、ご褒美をあげまーす!」
と言われ、カサカサ小さな袋を2つもらった。「おっ!なんだ?」と
ワクワクし受け取ってはみたものの、ただの犬のお菓子だった・・・。
犬の教育もさることながら、私たちパピーウォーカーの教育もしているとみた・・・。
トホホちょっと情けない。

さて、訓練が始まる。
自分の名前をちゃんと認識出来るようになったか?
ワンツーは、確実に覚えられるようになったか?
おとなしく人間に抱かれていることができるか?
クレート(持ち運び用のかご)の扉を開けても、勝手に出でこようとしないか?
あまり、ものを噛まなくなったか?などなど、
その他いろいろな項目をチェックしていく。
それぞれの犬の性格が分かって、結構おもしろい。

でも、おもしろいのは、犬より人間。
みんな、「おとなしくていい子ねー。うちの子なんて」と他の犬を誉める。
でも「うちの子」という表現である。自分の預かった犬をダメだダメだと言いながら、
その顔は嬉しそうである。中には「もう、噛んで噛んでどうしようもないんです。
もちろん、本気じゃなくってじゃれついてですけど」と言いながら、
腕についた
無数の血のにじんだ擦り傷を見せる。「いやいや、うちなんてもっと」と
T シャツの肩をたくし上げ、ほらどうだと誇らしげに見せ合う。
みんな大変そうだけど、親バカぶり大爆走で楽しそうにやっている。

犬を育てるのはさることながら、人と人とのこんな交流も、なかなか楽しい。

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6.エド、鬼になる!!??

エドに角が生えた!!???頭のてっぺんがまるで角のようにとんがっている。
あっ!!!タンコブだ!!!どこかでぶつけたのだ!!!
どうしよう、1cm以上はコブが出でいる。とっても痛そうだ。
ちょっと目を放したすきに、階段から転げ落ちたのだろうか???
遊びに夢中になって、壁に激突でもしたのだろうか????
でも、こんなタンコブ作るくらいの物音なら、誰かしら気がついているはず・・・。
まさか・・・。骨肉腫みたいな骨の病気か何かにかかってしまったの???
家族全員で、心配になる。他に、痛そうなところはないか所々を触って探ってみる。
どうやら異変が起きたのは頭のてっぺんだけのようだ。
盲導犬協会の先生たちに叱られるかも。どうしよう。
鬼のように角が生えたエドのおかしな顔を見ながら、
みんな、顔は笑っていても内心ドキドキである。

パピーパーティーの日が来た。獣医さんによる検診も行われる。
タンコブは、いまだ健在。
先生に「レントゲンとってみましょう」なんて言われたら、どうしよう。
ビクビクしながら診察台の上にエドを乗せた。
耳の中や口の中、目や足の裏何かを調べて「いいですね」の先生の一言。
あのタンコブに気がつかないわけがないのに、先生は何も言わない。
後で別に呼び出されて、注意されるのだろうか????
私たちは恐る恐る話を切り出した。

「あの・・・ちょっと目を放したすきに、
どこかに頭をぶつけたみたいなんですが、大丈夫でしょうか???」

先生の顔が一瞬曇った???
そして、運命の一言が告げられたのである。

「あっ、これ、ただの骨です。」

「へっ・・・・?骨」

「ゴールデンの血が半分混ざっているでしょ?この子はラブラドールより
こっちの血が多いみたいね、ゴールデンの骨格って、頭がとんがっているのよ」

つまり私たちは、成長における骨格の変化をタンコブだと勘違いしていたのでした。
お疲れさまでしたデス。しかし、ほんとに角みたいでいたずらする姿を見てると、
本物の鬼じゃないかい?と思う今日この頃です。

 

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7.我らダイエッターズ!!!

エドが家にやってきて、約1ヵ月になる。
そろそろ、わが家の犬としての自覚がエド自身も出てきたようだ。
お座り、伏せ、お手、おかわり、待て、来い、ハウス、そのほとんどは完璧に覚えた。
相変わらず興奮すると噛もうとしてくるが、「NO!」と一言叱ればとりあえず
やめるようになってきた。家の中での順位付けがそろそろ確定するころだろうか。

自然に言えば、父が一番上、次に母、次が私か妹で、その次が2匹の猫たち。
そして自分。今までは、みんながみんな遊び友達で、その中にも一番強い人、
餌をくれる人、いつも遊んでくれる人、自分より猫に興味がある人(私)程度に
なんとなーく分かれていたらしいが、最近は違う。
家の中で誰が一番偉いかを決めるのは、最終的にエド本人。
そんなものだから、今から家族ひとりひとり、他の人に気がつかれないように、
「この家で私が一番偉いんだぞ!ボスだぞ」と密かにやっているらしい。
そんなことをやっても、きっとエドは、普段の私達の生活を見て決めるのだろうが・・・。
何はともあれ、エドが家族の一員になってきたという素晴らしい変化の始まりだ!

そして、我々人間様にも、ある変化が現れてきた。ズバリやせたのである。
(というか・・・やつれたと言っても過言ではない)理由はいたって簡単。
エドの世話で、家族全員、体力・気力・精神力をうんとこさ使っているからだ。
たいしてエドの世話をしていない私でさえ、2kgも体重が落ちた。
家族全員のダイエットした体重を合わせると、10kgにはなるだろう。
10kgと言えば、今のエドの体重だ!

どうしてまたこんなに・・・と考えてみる・・・。
そういえば、腹筋を使いお腹から声を出すようになった。(ワンツーやエドを怒るとき)
瞬発力も養われた。(噛もうとしたものを瞬時に取上げに行かねばならない。
ゴロゴロ横になってはいられない)
ヒップラインも上がってきている。(柵をいちいちのりこえなければいけない)
おまけに、朝は早いし、夜は遅い。まだ子供なので、
約2・3時間おきにはオシッコをさせなければいけない。
真夜中に「ワンツーワンツー」の掛け声が響くのである。

妹が目の下にクマを作って言っていた。
「子育てってきっとこんな感じで大変なんだろうなぁ... 。
でも、赤ちゃんは猛ダッシュして

サンダルやソファーに噛み付いたりしない分いいかも」と・・・。

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8.雑誌取材の申し込み!!

 

第2回目のパピーパーティーの2・3日前、盲導犬協会から電話があった。

「あの、実は今度マルペケ出版社のペケペケという雑誌で、
盲導犬についての特集を組むということなんですが、
今度のパピーパーテーの日にパピーウォーカーさんの取材を代表としてエドワード君を。」

「なにぃ〜!!!取材ダトォー!!!なにぃ〜!!!まじでぇ〜!!!
うっそうっそ!マジマジ!?!?えーいやだなぁ!!!ほんとにー???
どうしよう???いやだなぁー取材でしょぉ〜!?どうするみんなぁ〜!
どうすんのさぁー!写真も撮るんでしょ?やだよぉ!どうするのぉー!?
着ていくもの・・・・・・。」

というわけで、もうやる気のわが家一同。
取材日当日の朝まで「何着てく!?あまりにもボロボロなのはカッコ悪いよねぇ。
でも、訓練パ−ティーに行くのにおしゃれしてってもしょうがないじゃん!
先生たちに『いったい、この家族は。』って思われるし・・・。」
というわけで、みんないつもと変わらないカッコで参加しました。
といいつつも、私、母、妹、のメイク時間がいつもの倍になっていたことは
言うまでもありません。
取材される主役はエドなのに・・・。

エドは、そんな私達を上目使いで見ながら、「しょうがねぇーなぁ」という顔してました。

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9.エド、モデルになる!その(1)

エドを乗せて車は走る。盲導犬協会へ向かってまっしぐら。
今日は取材の日、ワクワクドキドキ。人間のドキドキ感が伝わるのか、エドも何だか
ソワソワ。クレートの中でも落ち着かない。でも、そのソワソワはただの車酔いだった。
そういえば、目を細めて口をパクパクしながら生唾を飲み込んでたっけ・・・。
気がつかなくて、ごめんよエド・・・。

盲導犬協会へ到着。協会の人に、雑誌社の人を紹介される。
イラストレーターの妹は、すかさず名刺交換。「イラスト描きますよー」と抜かりはない!

パピーパーティーがはじまった。カメラが私達を狙っている。どことなく緊張する私達家族。
エドだけは、カメラのフラッシュの音や光にも動じることなく、妹に抱えられたまま、
足をだらりん、首をだらりんと余裕の表情。
「こいつ、すでに大物」と親バカもあきれるほど・・・。

今日の訓練は、前回の復習から始まり、リード(ひも)の正しい持ち方、上手なほめ方、
正しいシャンプーの仕方、リードを付けたままのワンツー、などなどなど・・・・。
エドが、それらをそつなくこなす間も、カメラマンはシャッターチャンスを逃さない。
せっかくだから、良い顔に撮ってあげてねとエドを気づかいつつも、
レンズがこちらへ向いているのに気がつくと
『おっ、私を狙ってるな!こっちの角度からのがいい顔なんだよなぁー』
なんて、人間達もついつい作り笑顔になってたりする。

しかし、ミーハー根性丸出しの家族に預けられたエドって、幸せなんだろうか?
それに、こんな私達を取材対象にしてしまって、盲導犬の大切さや、ボランティアとはとか、
なんかそうゆうちゃんとしたテーマが伝わる特集記事になるんだろうか?
後で盲導犬協会の人に『モデルをこの家族に選んで失敗した』
と思われなければいいのだが・・・。
盲導犬協会のイメージダウンにならなきゃいいけど・・・。

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10.エド、モデルになる!その(2)

盲導犬協会での取材が終わり、次は、自宅へ来ての取材となる。
帰りの車の中では、クレートの中ではなく、座席の下にエドを座らせて
走ってきたので、揺られる事なく酔いもしなかったようだ。
実際盲導犬になった際には、車に乗る時や、電車に乗る時などは、
パートナー(視覚障害者の方)の足元にいなければいけないので、
これも一つの訓練である。

家には、夕方の6:30頃に到着した。到着と同時に取材は始まり、
まずは、パピーウォーカーをやろうと思ったきっかけから話すことに。

■率先してやろうと言い出したのは妹でした。
でも、始めは「リタイア犬(盲導犬として仕事を終えた犬)を引き取りたい」
ということで、盲導犬協会に連絡をしたのです。
でも、「条件が満たなければ引き取ることはできない」といわれました。
そのなかで、もっとも大切な条件が、『パピーウォーカーの経験がある』ということ、
つまり、
●大型犬を家の中で飼うことができる。
●盲導犬として育てられた犬のしつけ方法を知っている。
ということです。もちろん、その他にもイロイロな条件はありましたが、
一番大切なことは盲導犬として生活してきた犬を、今までと同じような環境で
最後まで面倒を見てあげられるかということでした。

■そして、私たち家族は説明会へ出向き、とりあえずの会員登録をしました。
子犬が生まれるのを待つということです。そして、登録から約半年以上たって、
子犬が生まれたと連絡がありました。
ギリギリまで、悩みました。本当にパピーウォーカーをやるかどうか・・・。
私にとっては先に飼っている猫ことが、実は一番大切な問題でした。
もう若くはない猫です。ストレスで死んでしまったらどうしようとか、
気が狂ってしまったらどうしようとか考えました。
ここだけの話、正直、私にとって、盲導犬の数が少ないということより、
今、ひざの上で眠っているこの猫のほうが大切でした。

母も引き取りに行く前日まで反対していました。
以前、番犬として飼っていた犬が16才で他界しました。
老後の世話を主に見てきた母にとって、家の中で大型犬を飼うなんて、
どれだけ大変なものか、それは計り知れないほどだったのです。

■それでも、私たちはパピーウォーカーを始めました。
とにかく、一年間やってみようよということになったのです。
そして、やり始めて知ったこと2つあります。
ひとつは、「パピーウォーカーをやらなくして、リタイア犬は引き取れない!」
ということと、今は、家の庭に眠っている以前飼っていた犬に対して、
「もっと、ああしてあげれば良かった。こうしてあげれば良かった」と
イロイロな出来事を振り返って、考えさせられてしまうことでした。

インタビューに答えているうちに、改めてパピーウォーカーに対する
自分たちの意思確認というか、意気込みを感じていたのでした。

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11.エド、モデルになる!その(3)

 

前回の日記では、珍しくしみじみしたことばかり書きましたが、
実際は、もっと楽しく、はちゃめちゃな楽しい取材でした。

とにかくエドは人間が大好きですから、誰見境なく「遊んでおくれぇー」と飛びつく。
人見知りをしないということは、盲導犬になるにあたってとても重要なポイントだが、
子犬ですから、まだ分別がついていないので、もう大変。
カメラマンの方が撮影を中断して、ちょっとかまってあげたとたん、

「おお!!!このお方は、おいらと遊んでくれる人なのネン!」

とばかりじゃれる、飛びつく、ポロシャツを食いちぎろうとする、
カメラバッグの中に鼻を突っ込んでみては、おもちゃになりそうなものをひっぱり出して、
ブンブン振り回す始末。でも、おしおきでぶったりしてはいけない!
なぜなら、人間の手を怖がる犬になってしまうから。
何度も言うようですが、視覚障害者の方は、目が見えない替わりに
手を使ってイロイロなものを判断するときがあります。
ですから、人の手を怖がっていたら仕事にならない。
ついつい、鼻っ柱をピンとたたいて怒りたくもなってしまうのですが、噛みつかれても、
物に飛びついても「NO!!」と言うだけ、または、その場から立ち去って、

「お前が悪いコトとしたから遊んでやんない!」

という態度をとるしかないのです。
そうすると、人間と一緒にいることが大好きな犬種ですから、次第に

「これをすると、ご主人様は遊んでくんない。さみしい。だからやめとこ」

と覚えるのです。しかし、そう覚えた頃には、
ちょうど盲導犬協会へ返さなければいけない時期と重なるはず・・・。
何だか、ちょっと複雑です。
取材もほとんど終わり、後は、記念撮影のみ・・・。
まずは、家族で並んで記念撮影風に・・・。
そして、いつものワイワイ遊んでいるような雰囲気のカット・・・。
そして、エドだけの写真。
これがまた、エドったらすごいんだ。もう、モデル犬なみ。
ピリッと背筋を伸ばしてお座りの姿勢をとるかと思うと、タラリンと寝転がり、
愛くるしい目をする。(もちろんカメラ目線)ホント撮られてんのが分かってて
わざとポーズとっているみたい。いやはや、家族一同エドには負かされっぱなし。

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12.ハッピーとの出逢い

高岡早紀が主演した「ハッピー」というドラマがあった。
事故で全盲になってしまった主人公がハッピーという盲導犬に出逢って、
立ち直って自分の人生を歩むというような内容。
そのハッピーという犬に会えた!
ハッピーは、本名を「ラン」といって、本当に盲導犬をしていた犬。
今では『ハッピーラン』というあだ名もあるらしい。
本当は、まだ盲導犬の仕事を続けられる年齢だったけど、
ユーザーさん(視覚障害者の方)の都合で盲導犬協会に帰ってきたのだ。
新しいユーザーさんに付くほど若くないし、リタイアしてしまうほど年を取っても
いないということで、盲導犬協会のアピール・広報犬として抜擢された。
いわゆるモデルやタレント活動をするわけだ。
エドも先日の取材のときには、なかなかのモデルぶりだったが、(親ばか発言)
さすがに『ハッピーラン』は、モデル犬に選ばれただけあってキリリとした目が素晴らしい。
私たち家族は、エドなんかそっちのけで、

「えー!ハッピーなのー」

「エーウソウソ!」

「記念写真撮んなきゃじゃない!!」

と『ハッピーラン』の回りに群がる。「ラン」はさすがに役者?だけあって、毅然とした態度。
まったく、こんなミーハーなことしてんの私たち家族だけじゃないの?
と思って後ろを振り返ると、他のパピーウォーカーの人たちもカメラを持って、
今か今かと撮影の順番を待っている。

「あっ、シャッター押しますよー」

なーんて言い合ったりして。エドにも、

「ほら、エドこれがハッピーだよ!」

なんて言ってたりするが、そんなこと犬には分かりっこない。
ただただ、
クンクンと匂いを嗅ぐだけ。
『ハッピーラン』といえば、「なんだ???この小坊主は?」といった表情。
犬は、ホント表情が面白い。人間のような形の眉毛なんてないはずなのに、
ちょうど目の上の筋肉がヒクヒク動いて、皮が寄った感じが眉毛っぽくなる。
短毛の犬を飼っている人ならよくわかるかもしれない。
さらに、クレイアニメの
ウォレス&グルーミットを知ってるだろうか???
そのグルーミット(犬)の表情が、まさにそんな感じ。妹は

「もし、エドの名前が変えられるんだったら、グローミットって呼びたかったなぁー」

(彼女いわく、グローミットが本格的発音らしい)といいながら、

「う〜ん!!エドきゅーん」

なんて変な呼び方をしている。といいつつ私も、

「エドちょん」なんて呼んでしまう・・・。ああ・・・親バカ姉妹。

 

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13.下着泥棒出現!!

私のショーツとブラジャーがなくなった!!!母親のショーツもだ!
下着泥棒が出現した!!!といっても、干してある洗濯物からではなく、
脱衣所の洗濯物カゴの中から。ということは、内部犯行の線が濃い。
洗濯済みのものであれば、犯人は猫と決まっている
(どうしてだか、猫は何か新しい物の上に乗りたがる。
洗い立てのショーツの上にドンと横たわり隠してしまう。)

しかし今度は、洗濯前のもの。まさか、父親・・・のワケナイカ・・・。
そう、犯人はエド。エドは、ブラジャーをカゴの中からかっさらうと、
まるで勝ち誇ったような顔をして
ホフホフいいながらあるいてくる。
その顔は、ハムスターがホッペに向日葵の種をほおばって、
しかもほおばりきれずに口からはみ出しているような、そんな状態。

「あー!!マタヤラレター」

とは言え、いつものごとく下手に追いかけていって騒いだりすると、

「おぉ???ブラジャーくわえてくると遊んでくれるんだな!」と覚えてしまう。

いったいこいつは頭がいいんだか悪いんだか・・・。
でも、ただエドは、やはりオスだった。エドが加えてくる下着は女物だけ。
たまに、父親の靴下もくわえてくるが・・・。
しかし、なぜだろう・・・。女物の下着だけとはいっても、
妹の下着はくわえてきたことがないのは・・・・・。
とりあえず、追求するのはやめておこう。

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14.散歩は誰のため?

前回のパピー訓練のときに、先生が私たちに突然質問してきた。

「皆さん、犬の散歩は誰のために行くのでしょう?」

『そんなの犬のために決まってるじゃん』と思いながらも、
『まさか違うの?盲導犬になるための犬だから、最終的には視覚障害者の方のため?』
なんて思っていると、どこからかボソっと「犬のためじゃないんですか?」との声。
そしてすかさず先生は、言い放ったのです!

「そのとーり!!!」

さすがの私たちも拍子抜け。そんな当たり前の質問してどーする。
当たり前すぎて、答えたご褒美ももらえないし、くれないし・・・。
でも、先生は胸を張って話を続ける。

「でも、人間のため、私たち自分たちのためと思って行って下さい。そう思わないと、
人間自身そのうち散歩がおっくうになって嫌々行くようになってしまいます。
そんな気持ちで散歩に連れていかれた犬は、かわいそうですよ」

なるほど、確かに。犬(動物)は、人間の心理状況というものを大変敏感に感じ取るもの。
ペットを飼っている方なら、それはよく感じることだと思う。
例えば、何にか嫌なことがあって落ち込んでいたりするとき、愛する彼らは、
私たちに体を寄せ、まるで自分自身の身に悲しいことが起こったというような表情をする。
そんな彼らを見たことのある方、多いはず。
そしてそれが、私たちの心の支えにもなるのですよね。

だから犬の散歩は、犬のためだけでなくまず人間自身が楽しむための散歩
でなければならないということ。一緒に歩いている人が楽しければ、
犬にも当然それが伝わって、とても楽しい散歩になるわけだ。

そして、散歩という習慣について躾の先生からなるほどというお話も聞いた。
それは、「あえて散歩の時間を決めなくてもよい」ということだ。
もちろん、毎日行ってあげることは大切なのだが、例えば、朝は6時、夕方は5時
などときっちり時間を決めてしまわないほうが実はラクなのだそうだ。
なぜなら犬は、学習する動物であるから、朝6時になれば、

「ご主人サマー!散歩の時間ですよー!」

と催促することを覚えてしまう。
習慣だから、人間としては、自分が散歩の時間を決めて出かけたつもりなのだが、
犬からして言えば、『催促したから散歩に行けた!』と学習してしまうこともあると言う。
いやはや、難しい。人間の生活リズムもあるわけだから、昨日は朝5時で、
今日は10時。明日は、昼間の3時に・・・。
なんて、時間に余裕のある散歩なんてしてられません。
そんなときは、催促しはじめたら鳴き止むまで行かない。まずは、鳴き止ませる。
というのが第一段階だそう。これは、盲導犬になるための犬だからとかこうだ
というわけではなく、普通のペットでも言えることなのだそうだ。

とはいうものの、やはり「ねぇねぇ、そろそろ散歩の時間なんだけどナー」
なんて上目使いで見られてしまうと、いついつ

「ん?エドちょん、散歩!?」なんて話しかけてしまうのでした。

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15.クリスマスパーティー

12/23日に、盲導犬協会でクリスマスパーティーが行われた。
エドの兄弟姉妹以外のグループもすべて合同で行われる結構大きなパーティー。
パーティーといっても基本的には訓練の一部なのだけど、
みんな楽しみにしていたイベント。

楽しみな理由その1として「仮装」がある。人間ではなく犬のほう・・・。
犬の仮装?というとどんなものかと思うが、大抵は人間のTシャツなどを着せたりして、
ちょっとおめかしといったところ。
しかし中には、
トナカイの格好をさせている家族もいたりした。
さすが躾がしっかりしているだけあって、頭に帽子のようなものをかぶらせても
嫌がらない。エドには、まだまだ出来ない芸当。
エドは?といえば、どんな格好をさせようかとイロイロ悩んだ。
眉毛を描いてマンガっぽい顔にしてみる?とか、
父親のYシャツを着せてタキシード姿っぽくしてみる?とか・・・。
でも結局、長時間は我慢できないかも・・・ということで、
蝶ネクタイをつけるといういたって地味な仮装となった。
とは言うものの、エドったらなかなかダンディー!シンプルだけどとっても似合う。

「やっぱり器量良だから何を付けても似合っちゃうのよねー!ウチのエドちょん!」

なんてまたまた親馬鹿なことを考えながら、
エドの写真を撮るためだけに購入した
といっても過言ではないデジカメで、シャッターを押しまくる。

訓練パーティーが始まった。楽しみその2として「訓練ゲーム」がある。
訓練をしながらゲームとしての競争を行うというもの。
その中の一つとして『クリスマスツリーゲーム』がある。
これは、ツリーもどき(工事用のポール?)まで犬と歩き、
そこでおすわりをさせているうちに下においてあるツリーの飾り
(折り紙などの、盲導犬協会員お手製)をツリーもどきに貼りつけて
また戻ってくるといった簡単なもの。
簡単とはいえ、みんなが興奮状態の雰囲気の中でおとなしくおすわりさせておくのは
結構大変。エドも私たちのあせる姿に気を取られ、
何度も腰を浮かしてしまってやり直し。さらに私たちがあせればあせるほど、
エドも落ち着きがなくなってくる。終いには、訓練師の先生に

「まず人間が落ち着きましょう!さぁ、深呼吸」

なんて言われてしまう始末。でも何とかそのゲームはゴールできて、一安心。

そして、今日最大の楽しみ(ドキドキ)その3が、「一芸披露」。
各家、犬ごとに何か芸をしなくてはいけない。
もちろん、おすわり、伏せ、お手、待て、おかわりなんて、あたり前田のクラッカー
(古すぎ?)だから、芸のうちには入らない・・・。
そこで我らがエドの一芸は、何にしようと頭をひねった。
そして出てきた『エンドレスヒール』。
エンドレスヒールとは、その名の通り、エンドレスに続く『付け』のこと。
(付け=人の左側に行儀よくお座りしていること)
具体的に言うと、一歩歩くごとに『付け』をさせるなかなか根気のいる作業。
集中力がなければテケテケテケと歩き出してしまう。
家では何度も練習をして、カンペキ!
・・・しかし今日のエドは何だかとっても興奮気味。
こんなたくさんの人たちの前で、『エンドレスヒール』やれるのか?

他の犬が次々と一芸をこなしていく。
股の下くぐりや「ゴロン」と言えば猫のようにゴロンと横になる犬。
新聞!と言えばイロイロな物の仲から新聞を選んで持ってくる犬。

そして、とうとうエドの番。この興奮の渦の中、
果たしてエドはしっかりやってくれるだろうか???
父がリード握り、大きく深呼吸した。
右手には強烈モチベーター(ご褒美)の特製チーズを握りしめる・・・。
妹は舞台?のソデで心配そうに見守る。私と母も客席でドキドキを隠せない。

「さぁ、エド行くぞ」

舞台の幕は上がった!

父は一歩歩き出す。エドはとりあえずついていく。父が立ち止まる。

「エド、付いて」

その声を聞いてもエドはしばらくキョロキョロ。
今、全員の目が自分に向いていることが分かっているのだろうか、落ち着かない。
お座りもなかなかしない。父はもう一歩歩き出す。そして

「付いて」

の声、今度は素直にお座りをした!でもここからが勝負。もう一歩歩く。
そして

「付け」

の命令。今度も成功!調子が出てきた。
エドもいつも家でやっているように落ち着きを取り戻しつつある。
そしてもう一歩、またまたもう一歩と、約15mは『エンドレスヒール』が続いた。
大成功だ!舞台?のほぼ真ん中頃に着き、ついでにもう一つの芸『どっちだ?』を披露。
これは人間の子供に対しても良くやるゲームで、
右手左手のどっちに物が入っているかを当てさせるもの。
普段はティッシュなどを使ってやっているのだが、失敗は許されない!
ので、特製チーズで代用。もちろん見事にクリア。

エドの『エンドレスヒール』の最中、盲導犬協会の先生方から、

「おぉぉぉ!」

という感動の声、すべての芸が終わって大拍手。エドちょん!良くやった。大成功!!!

エドは大成功だったものの、私は失敗した・・・。
心配のあまり、エドの一芸成功の瞬間をカメラに押さえるのを忘れてしまった・・・・。
トホホ。

訓練が終わり、今度は人間達だけのパーティーが始まる。
みんなそれぞれに一品、何か食べ物を持ち寄ってささやかに?
行われるパーティーだ。その間犬達は、別の部屋でお留守番。
パーティーには、持ち寄り料理のほか、クリスマスカード?ボード?
を作ってくるのが宿題。
パーティー会場を彩るために必要なものだ。
妹はここぞとばかりに、飛び出す絵本のような立体のエドを作り出す。
写真も何枚か貼って、エドに噛まれたような演出をすれば出来上がり!!
結構
イケテルクリスマスカードが出来た。
しかし他の家は、犬の愛くるしい表情や仕種の写真を使っていたのに対して、
うちのだけ、いたずらしている憎ったらしい写真ばかりを使っていた。
いやはや家族の性格が表れるクリスマスカードとなった。
そして、一芸成功にウキウキしつつも、
一芸を撮り損ねた失敗にシクシクするクリスマスパーティーだった。

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16.命が助かったのは「運」のせい

今日は、父親が心臓の検査をする日。
仕事場での健康診断で、不整脈という診断を受け、いままで何度か、
脈を計るための機械を体に一日中付けて、心臓の具合を調べる
というものをやったが、いまいち不整脈の理由が見出せず。
高血圧でもないし、他の内蔵などはどこも悪くはないというのに。
で、今回の心臓の検査とやらが、検査というよりも手術といった感じだったので、
本人はもちろん、家族もいつもの感じを装いつつも、どことなく不安。
エドもそれを感じ取っているのか、ちょっと人間の姿が見えなくなると、
ク〜ン、ク〜ン鳴き出してしまう。

どんな手術かと言えば、手首を切って血管から管を入れ、
心臓までその管を到達させ、そこで何かしらの実験というか、
検査をするというものらしい。それをビデオに収めてじっくり診察するという。
心臓の胃カメラのようなものと考えればいいだろうか・・・。

しかし、家族それぞれいつもと変わらない表情だが、内心ドキドキを隠せない。
「もしも、父が何か大変な病気で・・・。もしもそうだとしたら、エドはどうなるんだろう。
やっぱり盲導犬協会に返さなきゃいけないのだろうか・・・。」
なんて考えながらそれぞれ仕事場や病院などに出かけていった。

仕事を終えて、一目散に帰宅した私。
いつものように玄関は鍵がかかっているので、
ピンポーンを鳴らして中からあけてもらう。鍵は母が開けてくれた。
私を見るなり眉間にしわを寄せて一言。

「今日は、大変なことがあったの。もう、信じられない」

その言葉を聞き、さすがの私も少し動揺。母は話を続ける。

「今日お父さんの病院に行ったでしょ。・・・。」

私は玄関を上がり、キッチンへ。そこには父の姿が。
確か左手の手首に包帯のようなものが巻いてある。
どうやら検査事態は無事終わったようだ。
ただ、いつも以上に黙々と夕食を食べている父の姿を見て、
いったい何があったんだろうかと考える。大変なこととはいったい。
母はマシンガンのように話し続ける。

「私がお父さんと出かけた後、すもも(妹)も病院に来たのよね。
でね、検査の結果を一緒に聞いたの」

もしかして、やっぱり何か大変な病気だったのか???

「先生がビデオで説明してくれて、すごいのよービデオ。
心臓がドクンドクン動いているのが分かるのよ」

そこまで話すと、、母の顔がだんだん笑顔になる?どうゆうこと?

「まぁ、それはいいとして」

エッ?いいの?

「家についたら大変なことになってたのよ!」

あれ?お父さんが大変なんじゃぁ????違うってことは、何が?
そして、母が溜め息交じりに言った。

「部屋中異様な匂いで充満してたの。この世のものとは思えないほどの・・・」

私は耳を傾ける。

「エドがね、ウンチ漏らしてたのよ」

・・・一同爆笑。

そうなのだ、ワンツーをさせてから出かけたものの、
やはり私たちのいつもと違うただならぬ雰囲気を感じ取っていたからだろうか、
多分十分に出し切れていなかったのだろう。
慌ただしく出かけていった私たちの心理を感じ取り、
エドも不安になっていたらしい。

で、小屋中ウンチだらけ、もちろんエドもウンチだらけ・・・。
良かった、私だけそのこの世のものとは思えないほどの匂いを嗅がずにすんで。

しかし、本当に犬って人間の感情をちゃんと読み取るんだなぁって
思ってしまった出来事でした。

 つづく

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