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子宮筋腫?日記
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プロローグ

 階段を昇ると最近息切れと動悸がする。それもそうとう。体力がなくなったとつくづく感じていた。スポーツクラブにあまり行っていないから、体力が落ちたのだと思っていた。「もう歳かなぁ。そういえばお腹もぽっこりしてきた」なんて言いながら。

 でもそうではなかった。前兆は突然訪れた。生理が止まらない。もう2週間以上続いているのだ。今までここまで生理が不順になることなんてなかったのに、トイレへ行くたびに「あれ?まだ終わってないや」という感じ。でもその時は気楽に考えていた。

 もう15年も前になるだろうか、まだ高校生だった頃、生理が止まらなくなったという事があった。その時はただホルモンのバランスが悪くなっているというだけのことで、オシリにプチッとホルモンの注射をしてもらいあっという間にその症状は改善した。『どうせ今回もホルモンのバランスが崩れてるんだろう。オシリに注射かぁ。恥ずかしいなぁ』と考えながら、私はその日会社に遅刻することを連絡して、地元の産婦人科へ行ったのだ。

2002/2/1−病気発覚!

 この産婦人科、私が生まれた所。私を取り出して下さった先生が、今は院長先生になっているというくらい古い病院だ。古いといっても、現在は総合病院の中の産婦人科として新しく建設されていて、とってもキレイ!私の母親がそうしたように、赤ちゃんが出来たら私もここで出産するぞ!と思っていた病院だ。

 私は、総合受付で産婦人科に行くのは初めてなことを告げ、真新しいカルテを作ってもらった。それをもって直接産婦人科の受付へ。受付の前にはお腹の大きい女の人がいっぱい。ご主人に付き添われている人もいる。

 15分ほど待って名前が呼ばれた。『7番診察室へお入りください』というアナウンスにしたがって、私は診療室へ入っていった。

 診察室はとても小さく、テーブル向うに先生が、その横に看護婦さんが立っているだけで横幅がいっぱいいっぱいになってしまうほど。そんな感じの診療室が10室ぐらい一列に並んでいるのだ。私は言われた通り7番に入りイスに座る。私の担当の先生は男性だった。ちょっとどうしようかなという感じ。

「どうしましたか?」

先生が質問する。その質問に私は正直に答えていく。いくら男の先生だからと言って、恥ずかしがってはいられない。

「もう2週間以上生理が続いているんです」

「いつからですか」

 事務的な日数確認の会話が続けられる。10分ほどの症状確認の質問が終わって、実際に内診してもらうことになった。『あーあー。早く終わらないかなぁ』という気持ちで内診を受ける。診療室は、イスに座って横になった時、首のあたりに一枚。腰のあたりに一枚と、計2枚のカーテンがひかれている。その2枚のカーテン越しに先生が内診をしてくれるというわけだ。で、お腹を押したりイロイロ調べていると、いきなり先生が叫んだ。

「あーこりゃー。出血が止まらないはずだなぁ。子宮筋腫だよ」

相当でかい声だった。私は横になって身動き取れないまま、『オイオイ、そんなでかい声出さなくても』と思いながら、

「はぁ。しきゅうきんしゅ?ですか?」

と一言。はっきり言って知識などまったくない私にとって、
『なんなんだぁぁぁぁいったいィィィィ』と頭の中は実はちょっとパニック。

 内診が終わって、診療室へもどる。ちょっと不安になりながらも平常心を保ちつつ先生の前に座る。

「血液検査をしてきてくれる?」

という先生の指示で、一度産婦人科の診療室を出て、検査室のある病棟へ。先生から渡された検査予約書?には、大至急というハンコが押されている。何だかそれだけで一大事のように思えて、ビクビクしながら採決を終え、また婦人科へ戻る。

 10分くらい待たされただろうか。もう一度名前を呼ばれ先ほどと同じ7番診察室へ入ってゆく。

「ひどい貧血ですよ。今までよく倒れなかったね。」

といわれ、『道理で階段上っただけで息切れするはずだ』と納得。そして、

「子宮筋腫ですね。どっち道手術が必要でしょう。」と先生。

私は、『どっち道って???どの道とどの道???』なんて思いつつ、先生の説明を聞く。私がチンプンカンプンな顔をしていたからだろうか、図解で子宮筋腫について説目されているパンフレットを取り出して、『あなたのはコレですよ』とボールペンで指し示してくれた。ところが何がどうなっているのか良くわからず、パンフレットをじーっと見ては逆さまにしたり右から見たり左から見たり……。

 ようやく<正常な子宮>という図と比べて、自分の子宮がどうなっているかが分り、マジですか?と顔面蒼白。すごく変形している。これが私の子宮??とびびったが、子宮にできる筋腫のすべてを一つにしている図だったので、想像以上にグロテスクだっただけで、私のは(内診によると)その中の一つの「筋腫分娩」というものらしい。つまり、その名の通り?子宮から筋腫が膣内に垂れ下がってしまっていて、まさに分娩中というもの。思ったより単純な筋腫のように感じたのだが、

「ココをチョキンと切っちゃえば良いんですよね」と明るく振舞う私の質問に、何の返事もせずただ難しい顔をしている。その顔に何か重大な事実が隠されているかのように思えて、またまた不安になる。

「どこから根が張っているか、内診だけでは分らないからねぇ。一度MRIを撮って詳しく見てみましょう。若いから、子宮を取っちゃうわけにはいかないしねぇ。」

という言葉に、さっき『どっち道』と先生が使った意味がわかったような気がした。おそらく『子宮を残すか残さないかどちらかにしても手術は必要』という意味だったのだろう。

 『もしも子宮を取らなくてはいけないことになったとしたら、母親になれないかも』という自体が私の頭にフツフツと沸いてくる。さらに、『ってことは、両親にも孫の顔を見せてやれないのかなぁ』という思いが沸いて、さらに悲しくなってくる。そして、何よりも『ダーリンに申し訳ないなぁ』という気持ちが大きい。結婚した当時から早く子供がほしい子供がほしいと言っていた人だったから、もしも私が子供を産めない体になったりしたら、とってもとっても残念がるだろうなぁ。

 その日私は会社を遅刻するだけのつもりだったが、何だかとてもぐったりとしてしまって、精神的にも疲れていたので休むことにした。電車の中で目を閉じると何だか涙が出でくる。涙を隠そうと下を向くと余計に自分の世界に入ってしまってド坪にはまりそうだったので、中刷り広告に目を走らせながらどうにかその場を乗り切った。もちろん涙で滲んで広告の文字なんか見えやしなかったけど……。

 駅について電車を飛び降りると、まず実家の母親に診察の結果を報告しにいった。トボトボと実家へ向かった。足取りは重い。どんな風な顔で言えばいいのか迷ったが、どんな時でも平気な顔をしてしまういつものくせで、ついついヘラヘラしながら言ってしまう。

「子宮筋腫だって言われちゃったよ。まいったまいった」

と報告する私に、

「あららぁ。そうなの?かわいそうにぃ」

と思ったよりも明るい返事が返ってくる。『もしかして、本当はすっごく大変な病気なのに、私を落ち込ませないようにと思って言っているのかも』と、ついつい悪い方向へ物事を考えてしまう。

 でも、新事実発覚。なんと、私の母親も筋腫を持っているのだそうな。あっそうなの??という感じ。持ってる本人が言うのだから、まあ大したことのない病気なのねと、しばし安心する。といっても命に別状はないというだけのこと。まだどんな手術をするのか決まったわけではないし、のん気に構えてはいられないのだ。さっき病院で2/13日に、MRI撮ってもらえるよう予約をした。ちゃんとした結果はそれからなのだ……。

 家に帰り、お義母さんにも病気のことを話したら、

「あらあら。大変ねぇー」

なんて、結構楽天的!インターネットなどでもイロイロ調べたら、女性の4人に一人はなる病気らしい。もちろん、その度合いで子宮を全部摘出しなくちゃいけないこともあるみたいだけど・・・・・・。とりあえず、それを逃れられればまあ、盲腸の手術みたいなものなんだろうなぁ、なんて勝手に考えていたする。こんな楽天的でいいのだろうか・・・・・・。

 ダーリンにも話をした。本人の私よりも、ちょっと落ち込んでいるみたい。万が一、子宮全摘出!なんてことになったら。なんてこと考えてしまっているようだ。

とにもかくにも13日の検査の結果次第。

2002/2/2−フロムヘル

 友達夫婦4人と私たち夫婦、合計6人で毎月映画を一本観るという『月一映画の会』というものを勝手に作って実行している。結構楽しみな行事だ。で、今日がその映画の会。昨日の病院でのことを女友達には話をしてあったので、私の体を気遣ってくれて何だか大病人になった気分もしたが、やはり心配されるのはありがたいことだ。どの夫婦もまだ子供がいなくてこれから子作り、できれば子供は同級生にしたいねぇ。とよくある友達グループの会話などをしていたものだから、二人とも自分のことのように親身になって励ましてくれたりした。友達とは良いもんだとつくづく実感。

 しかし、困ったことが一つだけあった。何を隠そう今日見る予定の映画だ。演目はジョニー・ディップ主演の「フロムヘル」。手術だなんだと言っているこの時に、結構グロテスクな映画を見てしまう私。まあ、病気のことが分る前にこの映画を見るということは決まっていたのでしょうがないのだが、「フロムヘル」といえばイギリス・ロンドンを恐怖におとしいれたあの『ジャック・ザ・リパー』のお話…。

 以前ロンドンに短期留学をしていたことのある私は、『ジャック・ザ・リパーツアー』なんていうものにも参加したこともあったりして、普通の人よりは、彼のしたことには詳しいというわけで、今回の映画がどんな内容のものなのか想像はついている。事実に忠実にストーリーが展開するとしたら、ジャック君が女性の子宮を切り取ってしまったりするシーンもあったりしちゃったりするのよねぇぇぇぇ。と考えてしまった。うぅぅぅぅん、何だか見る前から腹が痛くなってましたよ。

 そして、観終わった今。いゃぁーさすがにグロテスクでしたー。まさにタイムリーだったかもデス。犯人のジャック君、やっぱり犯行の際に子宮を持ち帰ったりしていたし。そのものを映像化するということはなく、あくまでも見ている人に想像させるというような映像でしたが、想像力のたくましい私としては結構『うぇぇぇぇぇっ』でした。ホントにお腹(子宮)がキュキューって締め付けられていくような感じでしたよ。この感覚は女の人にしか分らないかなぁ、やっぱり。

 というものの、私はそれほどグロテスクなものは苦手というわけではなかったので平気だったのですが、『この映画を観たい!』と選んだ友達の奥さんが、顔面蒼白で開いた口がふさがらず、映画が終わっても席を立てずにボーっとしていました。そんな彼女を見て、『普通はこんな風になっちゃうのよねーきっと。そう考えると私って結構タフなんだわ。もしも腹きり手術になっても大丈夫そうねん!』と変な所で自信を持ったのだった。

2002/2/12−明日は土管の中?

 とうとう明日がMRIの検査。でも、検査するだけで結果は後日です。そこの所がちょっともどかしい感じ。

 で、MRIってようはCTスキャンみたいなものらしいんだけど、とっても狭い、土管の中?みたいな所に入っていくらしい。実はダーリンはヘルニアを患っていたことがあって、その時から何度もMRIを経験しているらしく詳しく知っているので、どんなものか私に説明してくれる。閉所恐怖症の人には、絶対に耐えられないぐらいの狭さらしい。不謹慎だがちょっと楽しみ。何事も経験と言った感じ……。

 今まで大きな病気一つもしたことなくて、病院といったら風邪で行くぐらいだったから、何だか自分がドラマの主人公になったような感じがするのだ。きっと、本物のドラマだったら、また新たに問題発生!みたいな展開になるのだろうなぁ。ふむふむ。と、ストーリーを勝手に想像しながら、自分のことなのに、人のことのように客観的に考えている私なのでした。

2002/02/13−えぇぇぇ!そんな疑いが!?

 MRI体験してきました!!思っていたほどどうって事のない検査。でも、たぶんそれは私の検査部分がお腹だったからだと思うのだ。もしも頭が何かだったら、きっと今頃頭ガンガンして、その後、仕事どころではなかったでしょう。

 仰向けに寝て、せいぜい手の平を広げたぐらいの余裕しかないほどの筒状の機械に入って、超音波みたいなものを当てられるのだが、「ヴィーン。ウィンウィン。ドドドドド……」「カチカチカチ。ガガガガガ……」「ブブブブーー。ガギガキガギガキードドドドド」みたいな、金属音とも地響きとも言えるような音が、その筒の中にこだましてもうすごいのだ。しかも、約30分動いちゃいけないって言うのですからツライ。呼吸をするのもお腹をあまり動かさないようにしていたのでちょっと息苦しかった。それに、検査用の服に着替えていたので寒いのなんのって。冷え性の私としては検査そのものよりも足の寒さのほうが大変だったぞ。

 でもねでもね、いいことが一つ!おそらく助手の先生だと思うのですが、めっちゃくちゃかっこいい!TOKYOの松岡君似のかっこいい先生だった。『なんだー。化粧ぐらいしてくれば良かった』とこんな時にそんなこと考えてしまう私っていったい……。帰ってからダーリンに言ったら、「レントゲン技師の先生ってかっこいい人が多いんだってさぁ」と言ってた。ふぅぅぅん、そうなんだぁ……。

 と、そんなことはいいとして、結果なのだが、『2週間後に来て下さい』と言われた。もっと早く分っているようなのだが、検査結果によっては他の病院を紹介してくれるということもあるらしい?紹介してくれるのは、もっと子宮手術に関する専門のところだそうだ。

 極力、子宮を摘出しないで、さらにお腹も切らずに手術することが出来る手術法の専門の先生がいる病院があるそうで。といっても今日の検査の結果次第なのだが、とりあえず検査は無事に終了した。

 が、しかし!今日の診察は私はとんでもないことを告知されたのだ。『えぇぇぇぇぇ!ウッソ』って感じだった。だってだって、診察室に入るなり『前回の検査の結果ですけど、の疑いはないようです』だって!なにぃぃぃ?どうゆうことぉー?そんな疑いがあったってこと???マジですか?だって前回、血液検査と尿検査としかしてないじゃん。それに、『あー。子宮筋腫ですねー』と軽く言ってたじゃん。もしかして、悪性の可能性もあったってことぉぉぉ?

 今から考えるととっても恐ろしい私なのだった。

2002/02/23−筋腫が2つ!

 MRIの結果を聞きに行った。最終的な細かい結果はまだでなかったのだが、なんと筋腫が2つあることが発覚!!しっかりレントゲン写真にも写っていた。

 そして、現在の病院の先生に紹介状を書いてもらい、来週中にも新しい病院へ行って、お腹を切らずに子宮もとらずに済むっていう手術について相談に行くことに決定。つまり、手術自体はやっぱりしなくちゃいけないらしいのだ。でも、お腹を切らずに下からの手術ならそんなに身体に負担はかからないようで、おそらくその方法で手術が可能ということらしい。

 でも、最初に見つかった方の筋腫はそれで大丈夫そうなのだが、もうひとつあるのはどうするのかは、その新しい先生との相談になりそう。そんなわけで、今の段階では子宮は取らずに済むかどうかはまだ分らなくなった。まだまだ道は遠い。

 しかし、2つもあったとは……。

2002/02/25−ダーリンの優しさ

 27日に新しく紹介してもらった病院へ行くつもり。嬉しい事に、ダーリンの会社のすぐ近くなのだ。手術は嫌だけど、入院してもダーリンが近くにいると思うと安心安心という気持ちが強い。しかも、ダーリンだけでなく映画の会でいつも一緒の友達の会社も近くというからラッキーだ。(ちなみに、「フロムヘル」で開いた口がふさがらなかった子)これで入院中も暇じゃない!お見舞いに来てくれる人がいるというのは、入院生活者にとって嬉しい限りだ。

 そして、いつも優しいダーリンが、今回のことでさらにさらに輪をかけて優しいので、わたくしは非常に嬉しいのでありまする。どちらかというと、私は一人でイロイロ出来てしまうほうなので、病院へも一人で行ってこようと思っていたが、ダーリンは会社にお願いして遅刻許可をもらい、一緒に病院に行ってくれることになった。『午前中いっぱいは一緒にいられるから』とか言ってくれちゃうダーリンを思わずぎゅーっとしたくなってしまったが、恥ずかしいのでやめた。

 そんな優しいダーリンに何か恩返しをしたいのだが、何が良いのか分らない。とりあえず、早く病気を治して、ダーリンの子供を産んであげられるのか一番の恩返しかなと思ったりもしている。本当に、子宮を取らずに済む方向で進めば良いのだが。そして、子宮を残せたとしても、2個目に見つかった筋腫が、赤ちゃんを産むのに影響しなければ良いなぁ……。それとも、また別の手術で取ることになるのだろうか?

 どっちにしても新しい先生のお話を聞いてみないことには何とも言えない。

2002/02/27−手術日決定

 今日、紹介してもらった専門の病院に行ってきた。初診なので予約が取れず、3時間以上は待たされただろうか、付き添いで来てくれたダーリンも私もくたびれてしまって、待合室でうたた寝してしまうぼどだった。

 30分はうたた寝していた後、やっと名前が呼ばれた。診察室へ入るととっても優しそうな先生が、私のまだまっさらなカルテと紹介状をを見ながら

「とりあえず、子宮内エコーで子宮の中の筋腫を見てみましょう」

というので、私たちは再び待合室でエコーの順番を待つはめに・・・・・・。その専門の先生がいるらしい。

 15分くらい待ってからエコー室に呼ばれ、子宮内に内視鏡みたいなものを入れられて検査。『あーあー。やだなぁ』と思っているうちに検査は終わった。そしてまた待合室に戻され、担当の先生から呼ばれるのを待つこと20分。ようやく、筋腫の詳しい話や、手術日の話なんかが出来ることに。

 私はどんなことを言われてもダーリンの前では毅然としていようと、不安を押し殺して先生の話を聞いていた。そしたら先生、何を間違ったのか

「子宮の中には筋腫はありませんでしたよ」と一言・・・・・・。

私はしばし頭がパニック??????

「えっ?でも子宮筋腫だって言われましたよ」と私。

「子宮の外側にあるんですよ。」と先生。

でもそれは、前の病院でMRIの結果見つかった2個目の筋腫のことを指しているようだ。もうひとつあるはずなんだよねー。おっかしいなぁと思いつつ

「あのぉ。筋腫分娩て言われたんですけど」と私。

そしたら先生ったら「えっ?そうなの?そう言われてたの?」

なんてとぼけたこと言うのだ。さらに『紹介状には、子宮内視鏡手術を希望・子宮温存希望ってしか書いてなかったから』とか言うものだから、

「MRIのフィルム見て頂けました?」と不信感を取り払うように私は言った。

『前の先生がそれしか書いてなくたって、MRIのフィルムも一緒に持ってきてあるんだからそれを見れば分る』と思っていたし。そんな私に何だか気まずい表情になって

「あっ。レントゲンの専門の先生にみてもらわないと正確なこと出ないから」

なんて言うのだ。『それって、レントゲンフィルムは自分ではみられないってことかしらん?大丈夫なの?この先生?本当に子宮の専門の先生なのぉぉぉ!?』と、とっても不安になったのは言うまでもない。ダーリンも私の横で、クエスチョンマークいっぱいの顔をしている。

 ダーリンとしては、今日私の手術日が決まって、その日にお休みが取れるようにその足で会社の担当者に報告に行かなくてはいけない。それもあって今日わざわざ遅刻願いを出して付き添いに来てくれているのに、またこの病院でも新たに検査なんかを受けてたりしたら手術がいつになるのか、入院がどれくらいかかるのかというのが先に伸びてしまう。ダーリンだけではない。私だって仕事をしているから、会社を検査のためとはいえ何度も休むのは気が引けるというもの。ああ、いつ手術するのだろう。そして、子宮を取らずに済むのかどうかは、いつ分るのだろう。赤ちゃんは産めるだろうか……。と、私が不信な顔をしていると次の瞬間、手術日がついに決定した!

「もう(子宮から筋腫が)出ちゃってるの?あっ、そうだったんだ。だから子宮の中には見つからなかったんだ。それなら今日取っちゃえますよ」だって!?

 つまり今日が手術日ということ。しかも、診察室(まさに今いる場所)の横に置いてある台の上(しかもその一部がカーテンの横が見えていたりする)に横になって下さいといわれた。ダーリンは一応外に出されて、また待合室で待つ羽目に。そして、ドキドキしながら私は手術台?いや、診察台の上に。

「痛くはないですけど、ちょっとねじられる感じはありますよー」と先生。

痛くないわけないじゃん!くっついてるだけであんなに出血が止まらないんだもの!このごに及んで、そんなでまかせを!と思っていると、台に上ってから筋腫を切り取るまで、あっという間で、約3分で終了。えぇぇぇぇぇぇっ!!しかも、まーったく痛くも痒くもないィィィ!!女性の体って一体全体どうなっているのぉぉぉ???こんなに鈍感なものなのぉぉぉ!?手術室では??麻酔は??入院は??どうなっちゃうのぉ!?

 というわけで、あっという間に手術が終わり、鳩が豆鉄砲食らったような私。待合室にいるダーリンにも報告しに行った。

「あのね、手術終わった」

という私に彼も鳩が豆鉄砲食らったような顔。私よりも呆然としている。

「あっ。そうなの。じゃあ俺、会社行ってくる……」

「あっ。いってらっしゃい……」

「・・・・・・・・・。」

 ということで、さんざん私たちを悩ませた子宮筋腫騒動、あっけなく幕を閉じたのです。しかも!もう一つ残っている筋腫は、10円玉大の大きさで、子宮の外にできているもので、手術する必要もなく、子供を作るのにも影響ないらしい。

 3/13日にもう一度、今回切り取った筋腫の精密検査の結果とMRIの詳細なデータ結果が出るので、それで問題がなければ特に今すぐどうにかなるというようなことはないらしい。

 筋腫騒動コレにて一件落着とあいなりました。めでたしめでたし。

 いったいなんだったんだろう・・・・・・。

2002/02/28−ショックだったこと

 昨日、手術をしばかりだと言うのに、今日はいつもどおりに会社へ出勤、いつも通りに仕事をこなしている。まるで何事もなかったように……。でも、一つだけショックなことが……。それは、いまもまだ残っているもう一つの筋腫。この存在が私に驚愕の事実を突きつけてくれたのだ。

 それは……。お腹ポッコリは筋腫のせいではないー!ってことなのだぁぁぁぁぁぁぁ。つまり、ただのデブってことだぁぁぁぁぁ。えーん。シクシク。だってだって、その残っている筋腫の大きさって10円玉くらいって言うではありませんか!と言うことは、どう考えたってこのポッコリお腹とは比例せず……。とほほ。やっぱり太ったんだわ……。スポーツクラブ行かなくては!!と心に強く誓う私なのだった。

 ああ。本当に人生ギャグだわ。

2002/03/05−名前

 二人っきりの夕食の時にいきなりダーリンが言い出した。

「もし男の子だったら○一郎っていうのダメ?」

○に当てはまるのはダーリンの名前の一文字。まだ妊娠もしていないのに、子供につける名前を考えているらしい。私の病気が大したことなかったのが相当嬉しいご様子だ。(笑)私は笑いながらも、

「えぇぇぇっ?○一郎だなんて、小泉○一郎みたいじゃない!なんかミーハーな感じぃ」と言い返すと、

「そっかぁぁぁ」と真剣に悩んでる。

 私の親戚の人達って、母を含めみんな女っ腹なので、きっと私も子供が出来たとしたら女の子だろうという感じだ。ダーリンもそれは感じているらしく『男が欲しいんだけどなぁ。きっと女だろうなぁ』とつぶやく。そして『きっと女だろうから、男の名前は3つしか考えてないんだー』という。なんじゃそりゃ?だからぁーまだ妊娠もしてないんだってば!って感じだけど、さらに気の早いダーリンは、『女の子の名前なら13個も考えてるよ』ということらしい。私がどんな名前を考えているか聞いてもぜんぜん教えてくれない。妊娠した時全部紙に書いて教えてくれるそうな……。とりあえず○○子というみたいに『子』が付く名前ではないらしい。あと、何だかわけわかんない漢字を組み合わせて横文字チックな、まんがみたいな、オタクチックな名前でもないらしい。(よかった)

2002/03/13−予知夢

 今日は、MRIの結果と筋腫の精密検査の結果を聞きに行く。術後の経過は良くというか、まったくもって手術したなんて思えないほどいつもと変わらぬ体調の私。とは言うものの、念のためとはいえ覚悟を持って検査結果を聞くことにした。

 今回は予約を取っていたから15分も待たずに診察室へ。余裕さえ感じられる。診察室の扉を開けて先生にあいさつ。

「どうですか?その後」

「ぜんぜん大丈夫みたいです。出血も止まりました」

落ち着いた表情で答える私に、先生は思いもよらないことを言い出した。

「前回切り取った物の精密検査の結果ですけど、正確には筋腫じゃありませんでした」

「へっ・・・?」

「もちろん癌ではありませんでしたよ」

 確かに、最初に見てもらった病院でも簡単な癌の検査はしてくれたようで、癌でないことは分っていた。今回は精密検査ということもあって間違いなく悪性のものではないということが分ったわけである。本当に良かった。しかーし!癌でもない、筋腫でもない!それじゃいったい私の体の中に出来てたものは何なのさぁぁぁぁぁ!更なる不安が私を包む。

 そして、想像力豊かな私は考える。まさか、実は特殊な子宮外妊娠みたいなものか何かで、切り取ったあの丸っこい塊の中には、本当は胎児が入っていたのだったりして!!えっ?もしかして本気?ウッソ……。

 実はそんな創造をしてしまうのにもちゃんとした根拠がある。この病気が発覚する前、予知夢というのを見たのだ。その予知夢とは、こんな感じのものだ。

 妹と一緒に実家のお風呂に入っている。実際妹と一緒にお風呂に入ったりすることも多かったので別に不思議ではない光景。しかし、異変が起こったのだ。

 私がシャワーを浴びながら、フッと自分のお腹を見ると、ちょうど子宮のあたりが真っ赤に腫れ上がってきて、血が滲んでいるような状態になったのだ。しかもそれだけではない。右側のおそらく卵巣に位置するあたりから、赤い管のようなものが伸びてきて、その先が丸く膨らんできたのだ。夢の中で私は、『おや、なんだこれ?風大左エ門(漫画−いなかっぺ大将)の涙が赤くなったみたいなもんがでてきたぞ。キクちゃーん、ニャンコせんせーい!何これぇ』と訳の分らない例えで、お腹からぶら下がった変なものを見ていた。よーくその先の丸いものを見てみると、何とたまげた、胎児が入っているではないか!!!結構気持ち悪い映像だ。妹と私は夢の中で大騒ぎ、そんな所で夢は終わってしまった。

 というものだ。この夢、病気の症状が出る前に見た夢だったので、まさに予知夢だと思っていたものだった。だからもしかしてという気持ちが、私のいつもの想像力に輪をかけて肥大した想像力になっていたのだ。

 私のそんな考えを知ってか知らずか(知るはずないと思うが)、先生が私に事実を伝える。

「切り取ったものは、良性のポリープでした。」

「はっ?・・・・・・あっ。・・・・・・そう、で・す・か」

 またもや新しい病名を告げられた私は、頭の中が空っぽになってゆくのを感じていた。頭が空っぽになってしまった私は、ポリープって何?と思いつつも、どんどん説明を進める先生に質問できないままでいた。

「MRIの結果もちゃんと出ましたよ。えーっと」

と、結果が詳しく書いてある紙を私に見せてくれた。そこには医学的な難しい言葉がうじゃうじゃ書かれてあって、ぱっと読んだだけではまったく意味不明。

 先生の説明を要約すると、今回切り取ったものと、2個目に見つかったもののほかにも、とっても小さい筋腫らしきものが、子宮の周りに2つくらいあるらしい。といってもこれは今は問題ないほどの大きさなので、ほおっておくしかないという。そして、右の卵巣にも何かあるそうだ。思わず予知夢を思い出してしまった。どうやらそれは、2.3センチくらいの血液の塊みたいなものらしい。これも今すぐにどうにかなるというもでもないということ。ちっちゃな筋腫も血液の固まりも、たまたま体調の関係で、この時期にだけ出来ているものかもしれないということもあるようで、今はどうすることもできないのだ。

 とりあえず不安は多少残るものの、半年に一度定期的に検査を受けることでこれからのことは大丈夫らしい。なんとも歯切れの悪い幕切れとなった筋腫騒動だった。いや、筋腫ではなかった騒動だった。本当に人生ギャクなんだと、感じてしまう今日この頃である。

エピローグ

 今度は、ポリープについてイロイロ調べてみた。粘膜のあるところに発生するもので、一度取ってもまた出来たりするものらしい。困ったものだ。しかも、私に出来てたポリープは、ストレスなどによって発生することが多いというのだからさらに困ったものだ。

 ダーリンとのいつまでも新婚気分のラブラブ生活とはいえ、同居生活や仕事の忙しさなどなど、知らないところで着実にストレスはたまっていくものなのだと思い知らされる。今お腹に抱えているおそらく筋腫が、急激に大きくなったり増大したりしないことを祈るばかりだ。

 そして、仕事もいいけどそろそろマジに子作りを考えた方が良いかもと思うのである。

ひとまず完

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