**********
大賞受賞
**********

 

 結婚してもうすぐ3度目の記念日がやってくる。結婚4年目に突入だ。

 夜中の2時過ぎ。大抵就寝時間はこの位か、時にはもっと遅くなる時もある。ここ半年くらい、ダーリンのお仕事がとても忙しくて帰ってくるのが、毎日だいだい夜の12時近い。朝、6時30分頃には家を出て行くから、二人が一緒に過ごせるのは、ダーリンが帰ってきてからベッドに入るまでの1・2時間だ。

 せめて夕食は一緒にと、11時を過ぎるまでは私も食べないで帰りを待っている。夕食を食べ終わるのが夜中の12時。健康に良くないとは思っていても、やはり先に夕食を済ますことは出来ず、帰ってくるのを待ってしまう。「先に食べててもいいよ。先に寝ていてもいいよ」という電話の言葉に「ウン。分った」と返事はするものの、通話を終了すると何故か寂しい気持ちになって、ついつい帰ってくるのを待ってしまう。ダーリンの方も、仕事中、休憩をとって夕食を済ますこともできなくもないが、どんなに遅くなっても家に帰ってきてくれるし、ほとんど家で夕食を取る。『もしかして、私が待っていると分っているから、少しでも早い時間に夕食を取れるものを、わざわざ帰ってきてから食べるのだろうか?』とか、『本当は先にグーグー寝ていてくれたほうが気が楽なのだろうか?』とか、そんなことも考えるけど、ついつい自分の気持ち優先でダーリンが帰ってくるのを待ってしまう。本当のところは確かめたくないので聞かないことにしている。だって、「ホントはウザイ!」なんて言われたら立ち直れないもの。

 一人きりの部屋でダーリンの帰りを待っていると、仕事だからしょうがないことは分っていてもやっぱり「はやく帰ってこないかなぁ。つまんないなぁぁ。ちぇっ」と、ちょっぴり落ち込み気味にもなってしまう。でも、ダーリンが帰ってきた瞬間にそんな気持ちはどこかへ飛んで行ってしまって「おかえり!オカエリ!お帰りぃー♪」とハッピーな気分。決して作り笑いじゃないウキウキ顔になってしまう私がいる。

 そんな毎日が続く中、いつものようにベッドに入って「おやすみ」のあいさつをすると、ダーリンがいきなり言い出した。「大賞を受賞いたしました!」何のことだかさっぱり分らない私。それでも、きっとお仕事がんばっているダーリンが職場で何か賞をもらったんだろうと考えた。「何?何?どんな賞???」という私に「<いい奥さんで賞>の大賞をあなたは受賞いたしましたことをここにご報告いたします」というのだ。

 実は最近、大忙しな職場内の既婚男性の中で、毎日遅い時間に帰っていることでの奥さんの対応とか、子供の反応などなどが話題にのぼっているというのだ。「もう、奥さんと1週間も口を利いていない」とか「遅くなるなら会社に泊まってよ」と言われてしまったとか、子供に「今度いつ泊まりに来るの?」と言われたとか、仕事中1時間ごとに子供と奥さんとで交互に携帯電話に掛けてくる人がいるだとか。イロイロな話があるらしい。

 中でも笑ってしまったのが、子供の起きている時間帯と噛み合わず、いつも爆眠している自分の姿しか見せていないという上司のお話。久々に子供の休みと同じ曜日にお休みがもらえ、さぁて今日は久々に子供と遊んでやろうかとベッドからモソモソと起きはじめた時、子供がいきなり驚きながら母親の所へ逃げるように駆け寄って「パッ、パパが動いてる!ママぁーパパが動いてるよ!」と騒がれたとか。マンガのような話だけど本当らしい。

 で、そんな風に各家庭の話を面白おかしく話題にしている中で、ダーリンも私の話をしたらしい。どんな風に話をしたのかまでは言わなかったけれど、「文句ひとつ言わないお前の奥さんは素晴らしい!<いい奥さんで賞>大賞受賞だ」と職場の人たちに言ってもらえたらしいのだ。ダーリンは決して私と目を合わさず恥ずかしそうに、でもちょっと嬉しそうにそんなことを話してくれた。奥さんの私としても嬉しい。とってもとっても嬉しい。そして、このうえない安堵感を覚えた。ダーリンがどんな遅くてもちゃんと家に帰ってきてくれるのは、義務だけではないんだろうなと思えたから。

 そうして私は、大賞を受賞した後もその大賞に溺れることなく、ダーリンがどんなに遅く帰ってきても、笑顔で「お帰りぃー♪」を言う毎日を続けています。 

夫婦の会話が無いって言っている人、この世の中にたくさんいるみたいです。でも、朝起きて「おはよう」出かけるときの「いってきます」「いってらっしゃい」帰ってきたときの「ただいま」「おかえりなさい」そして、眠る前の「お休みなさい」。ただの挨拶でしかないけど、ちゃんと心がこもっていればそれは会話になっていると思うのです。そして、例え短い会話でも、心と心の会話がやっぱり夫婦は大切なんだと。

今までもらったどんな賞よりも、一番嬉しかった大賞受賞のお話でした。

 

へもどる

エッセイのトップへもどる