「足音」

 

足音が聞こえる。
けだるい朝の地下鉄の通路で、
時間にせかされるように人々がただ歩く。
その足音は、空間にこだまし、
何千何万もの数に聞こえる。

足音が聞こえる。
私の靴も、空の見えない暗い道で、
足音たちにせかされるように音を鳴らす。
その足音は、空間に吸い込まれ、
いつのまにか一人きりの自分に気づく。

足音が聞こえない。
あなたの足音だけが、今、ここにいない。

 

 

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