<一日の始まり>
彼の腕の中で彼女は目覚める。 一度大きなあくびをして、彼の顔を覗き込む。
一晩中、彼女の腕枕になっていたせいで、彼の右手は痺れきって まるで自分のものではないようだった。 そんな彼の腕を面白そうにつっつきながら、
「ねぇ、おなかすいた」
と彼を起こそうとする。
「待ってくれ、もう少し眠らせてくれよ」
と彼が言うと、彼女はしばらくの間、駄々をこねていたけど、 諦めて顔を洗いにベッドから出ていく。 彼はいつのまにかまた眠っていた。 彼女もまたせっかく顔を洗ったのに、彼の頬に寄り添うようにして眠っている。 彼がむっくりと起き上がって、彼女の鼻にKissすると、
「ねぇ、おなかすいたの」
と眠たそうな目をこする。
もうこれ以上我慢できそうもないだろうと 彼がベッドから降りると、彼女は目を輝かせながら
「にゃぁ〜」
と鳴いて一目散にキッチンへ駆け出していった。
平凡だけど、幸せな一日が始まる。
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