<彼の傍らには>

 

      その日の二人は、映画の話で盛り上がっていた。

      「鼻はぶつからないの?」

      ある昔の映画のセリフを彼女は口にした。

      「で、相手の男性がこう言うの
      『こうすればいいんだよ』って」

      そう言いながら彼女は首をかたむけた。
      そんな彼女の唇に彼は自分の唇を重ねた。

      「ホントだ・・・。」

      彼は、微笑みながら言った。
      彼女は、彼の無邪気さがおかしくなって
      ついふき出してしまった。
      彼自身も、自分のしたあまりに素直な行動が
      恥ずかしくなって笑い出した。
      二人はそうしてしばらくの間、笑っていた。

      そんな風に、彼の傍らにはいつも・・・
      彼女がいる。

 

 

 

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